「鉄道車両を撮影する際には許諾が必要」という解釈をしている場合や、撮影そのものが“許諾のない盗撮である”という判断がなされないかどうか、検証する。
撮影に関する許諾の必要性
「鉄道車両を撮影するには許諾が必要」という解釈をしている方がいるのではないだろうか。
テレビ番組やネット番組など、よく“許諾が取れないから車内の撮影ができない”という声もあるぐらいだから、許諾を取らないと撮影自体ができないと思われるフシがある。
しかしながら、撮影に許諾が必要なのは商用利用による場合のみである場合がほとんどで、趣味や旅行の記録など個人が撮影する分には許可は必要ない。もし必要だとしたら、家族旅行に行ったときなどでスマホで撮影する前に許諾が必要になるはずであろう。
盗撮などの可能性は?
許諾もなく勝手に撮影している行為を「盗撮」と思っている方もいると思うが、盗撮自体は刑法に定義されておらず、下記のような撮影を言うことが一般的です。
盗撮とは、被写体となる人間の了解を得ずに勝手に撮影を行なうこと。
しかしながら、鉄道車両は人間ではないため、盗撮に当たる可能性は極めて低いと思われます。
なお、「鉄道車両の中に人間がいるから盗撮じゃないか!」という反論があるかもしれませんが、了解を得ずに勝手に撮影することすべてが盗撮となり、刑事事件の捜査に遭うわけではありません。
盗撮による処罰が決められているのは「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(通称「性的姿態撮影等処罰法」2023年7月13日施行)」という法律の「撮影罪」という項目で定義されています。
上記条文に照らし合わせれば、「衣服を着た状態の全身などを撮影する行為」については盗撮として処罰を受けることはないため、法的に許された場所において趣味の範囲で鉄道車両を撮影すること自体には何ら違法性はありません。